トリミングサロン・ペットホテルの「魔の12月」。繁忙期の事故を防ぐための運営チェックリスト

12月、現場は「戦場」になっていませんか?

今年も残すところあとわずか。トリミングサロンやペットホテルを運営する私たちにとって、12月は一年で最も売上が立つ「書き入れ時」であると同時に、スタッフの疲労がピークに達する「魔の時期」でもあります。

予約枠は満杯、電話は鳴り止まない、ロビーにはお迎え待ちの列・・・。

 

そんな「極限の忙しさ」の中でこそ、ヒヤリハットや重大な事故は発生します。 今回は、無事に年末を乗り切るために、今一度店舗全体で共有していただきたいリスク管理のポイントをまとめました。

 

1. トリミングサロン:焦りが招く「ケガ」と「逃走」

トリミングの予約が詰まっていると、どうしても「早く終わらせなきゃ」という心理が働きます。

  • ハサミ・バリカンの事故: 保定が不十分なまま刃物を動かしてしまい、皮膚を傷つける事故が12月に多発します。「急がば回れ」で、基本の保定を徹底しましょう。

  • 受け渡し時の脱走(逸走): 次のお客様の対応に気を取られ、ドアの施錠確認がおろそかになりがちです。お客様の出入りが激しいこの時期こそ、「二重扉の同時開放禁止」を徹底してください。

2. ペットホテル・一時お預かり:普段と違う「客層」に注意

年末は、帰省前の買い物や大掃除のために、数時間の「一時お預かり」を利用されるお客様が急増します。

  • 普段見ない犬種の来店: 性格や癖を把握していない「ご新規様」のお預かりが増えます。

  • 持ち込み物の紛失・取り違え: 繁忙期は荷物管理が煩雑になります。フードやおやつの取り違えは、アレルギー事故に直結します。「お名前シールの徹底」や「専用ボックスでの管理」など、物理的なミス防止策を強化してください。

3. 経営者がスタッフに声をかけるべきこと

現場のスタッフは、責任感から無理をしてしまいがちです。経営者・オーナー様は、朝礼や終礼で以下のことを伝えてあげてください。

「予約を詰め込んでいるのはお店の責任。だから、何かあったらすぐ報告してほしい。隠すのが一番のリスクだ」

小さなミス(爪切りでの深爪など)を「忙しいから怒られるかも」と隠蔽し、後からお客様に発見されて大クレームになる・・・。これが年末に一番怖いパターンです。 「報告しやすい空気作り」も、重要なリスク管理です。

4. 万が一の事故に備える「経営者の責任」

どれだけ注意喚起しても、人間が動いている以上、ミスをゼロにすることはできません。 もし、年末の最終営業日に事故が起きてしまったら・・・。 もし、お正月に高額な治療費を請求されたら・・・。

そんな最悪の事態から、お店とスタッフを守る最後の砦が「ペット事業者賠償責任保険」です。

 

安心して新年を迎えるために、加入内容の確認や、未加入の場合は早急な検討をお勧めします。

5. まとめ:笑顔で「仕事納め」をするために

お客様は、愛犬・愛猫を綺麗にして、気持ちよく新年を迎えたいと願って私たちに依頼してくださいます。 その期待に応えるための大前提は「無事故でお返しすること」です。

日本ペット事業者支援協会は、全国のトリミングサロンペットホテルシッター事業者の皆様が、この繁忙期を無事に走り抜けられることを応援しています。 どうぞ、安全第一で、良いお年をお迎えください。